パラベラム協会

護身術に効果はあるのか?

犯罪心理学の研究により、「強力な抵抗」を実施すると、暴力的な性的攻撃とレイプ被害を少なくすることに効果的であることが分かっています。レイプへの対抗戦略には概ね、以下の4種類が考えられます。

強力な身体的な抵抗
殴る・蹴る・引っ掻く・噛みつく・武器の使用のことで、抵抗が成功した場合に、レイプされる可能性を低下させますが、身体的に傷付けられる危険は増大します。
強力な言葉による抵抗
助けを求め、叫ぶ、加害者を脅かす言葉などのことで、抵抗が成功した場合に、レイプされる可能性を低下させますが、被害者が受ける身体的な怪我の程度がどうなるかは不明です。
強力ではない身体的抵抗
逃げようとしたり、攻撃者を突き飛ばしたりすることで、抵抗が成功した場合は、レイプされる可能性を低下させ、被害者が受ける怪我の程度にはほとんど影響しません。
強力ではない言葉による抵抗
泣く、懇願する、犯人を諭そうとするといったことで、一般にレイプされる可能性を大きくするが、身体的な怪我を少なくすることは無いと言われています。

「強力ではない言葉による抵抗」を選んだ女性は犯人が図に乗るため、強く抵抗した女性より性的に肉体的により攻撃されることが分かっています。レイプ犯は懇願したり泣いている女性に性的な興奮を覚える事が進化心理学でも指摘されています。

ただ、これらの研究は、暴力がともなう危険な性犯罪者による暴力に焦点を絞ったもので、暴力のともなわない知人によるレイプに対して同じ結果になるかは犯罪心理学の研究からは不明(そうした研究が行われていないため)となっています。

知人による、身体的暴力がともなわず詐術によって騙して従わせるタイプの性暴力にも、加害者が女性の身体に触った時点で「強力な抵抗」が実施出来れば効果があると思われますが、知人による性暴力は、性暴力におよぶ前に社会的地位や詐術などで、「強力な抵抗」を女性が選択できないような状況に追い込んで実施されますので、従来の護身術とは違った戦略が必要となります。

具体的には、「強力ではない言葉による抵抗」とは異なる、毅然かつ挑発的では無い冷静な、言語と態度によるコミュニケーションを使い、事前に加害者の性暴力を実施する意図を挫く戦略が必要になって来ます。これを例えるならば、国家が自国の国力と軍事力または地政学上の条件を勘案し、外交戦略で自国への軍事的侵略の意図を頓挫させる、といった事と似ています。国家によって国力と軍事力または地政学上の条件により外交戦略が異なるように、女性の防衛戦略も、本人の性格や身体能力によって、変更しなくてはなりません。

例えば、元来から気が弱い女性が、気が強い女性と同じ防衛戦略では加害者には通用しませんし、気の強い女性はアルファのオス(ボス猿のことで、暴力的な男性を指す)に惹かれる傾向が気の弱い女性よりも強い場合が多い(状況をコントロール出来ると思いやすい)ので、危険な男性に近寄ってしまう可能性が高くなる、といった気の弱い女性とは違ったリスクを持っています。

また、男性による暴力の多くが、恥をかかされたことに対する報復だとする指摘もなされています。そのため挑発的な態度は暴力を引き寄せる結果となります。そもそも、強い弱いは加害者との相対的な問題で、どんなに攻撃性の高い女性でも、もっと攻撃性の高い男性のターゲットにされてしまうとリスクの回避は難しくなります。

このように、状況は、時と場合、自分と相手によって、千差万別に変化します。ですから、「こういうときは、こうする」と簡単に決めることは出来ません。そのため、護身術の「考え方」を学ぶ必要があります。

そして、恐怖によって抵抗出来ない、いわゆる「凍り付き」現象は、男性にも他の野生動物にも見られる、脳内の扁桃体に由来する生存戦略です。暴力から生き残ることが出来たのならば、凍り付いて抵抗出来なかったことも、殺されたくないから無抵抗を選ぶことも、護身術だと言えます。

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