パラベラムとは
PARABELLUM(パラベラム)は、女性護身術の研究・教育を中心に、人々がより安全に、より自分らしく生活するための活動を行う非営利団体です。
私たちは、護身術を単に「襲われたときに相手と戦うための技術」とは考えていません。
危険を知ること。
危険をできるだけ避けること。
状況を判断し、必要な行動を選択すること。
そして、身体的な対処が避けられない場合には、自分を守るための技術を持つこと。
こうした知識と能力を総合的に身につけることで、日常生活における安心と選択肢を増やし、QOL(Quality of Life/生活の質)を高めることを、パラベラムは護身術の重要な目的と考えています。
パラベラムでは2007年から女性護身術の研究・開発を続けています。
現在は、身体技術として「Functional Wing Chun(ファンクショナル詠春拳)」を採用するとともに、戦略研究、進化心理学、犯罪心理学などの知見を研究領域として取り入れ、女性護身術「パラベラム」を構成しています。
女性護身術「パラベラム」
「パラベラム」は団体名であると同時に、私たちが研究・教育している女性護身術(Feminist Self-Defense)の名称でもあります。
女性護身術パラベラムでは、護身を身体的な戦闘だけの問題として捉えません。
現実の危険には、突然発生する身体的な暴力だけでなく、人間関係、心理的な圧力、立場の差、欺瞞、威圧など、さまざまな要因が関係します。
そのため、身体技術だけを身につければ十分であるとは考えていません。
パラベラムでは、護身を大きく「身体技術」と「理論」の両面から研究しています。
身体的な対処が必要になった場合に用いる技術をファンクショナル詠春拳によって学び、それ以前の段階を含めた状況認識や意思決定について、戦略研究、進化心理学、犯罪心理学などの知見を参照しながら考えていきます。
目指しているのは、「戦いに勝つ人」をつくることではありません。
危険に対して可能な限り多くの選択肢を持ち、自分自身の安全のために、その状況に応じた判断ができるようになることです。
身体技術 ― ファンクショナル詠春拳
女性護身術パラベラムの実技は、ファンクショナル詠春拳によって構成されています。
パラベラム独自の格闘技術を別に設けるのではなく、身体技術についてはファンクショナル詠春拳を採用しています。
また、パラベラムはファンクショナル詠春拳の公式支部として認証されています。
ファンクショナル詠春拳は、詠春拳を現代的・実用的な観点から体系化した武術です。
パラベラムでは、女性護身術に必要な身体技術を継続的に習得するためには、一度きりの「護身術の技」を覚えるのではなく、基本動作から対人練習までを継続して学ぶことが重要だと考えています。
そのため、日常的な実技訓練は、パラベラムが運営するファンクショナル詠春拳公式支部のスクールで行っています。
ファンクショナル詠春拳を武術として学びたい方も、女性護身術の身体技術として学びたい方も、同じ技術体系を学びます。
理論 ― 危険を理解し、判断するための知識
身体技術は護身における重要な要素ですが、実際に身体的な対処が必要になる前にも、多くの判断が存在します。
パラベラムでは、その判断を考えるための理論領域として、主に次の三つの分野を研究しています。
- 戦略研究
目的、相手、環境、利用できる手段などを考慮し、直接的な対抗だけにとらわれず、より安全で合理的な選択肢を考えるための視点として活用します。 - 進化心理学
人間の行動や対人関係について理解するため、関連する研究や仮説を参照します。一つの理論だけで人間行動を説明するのではなく、護身に関連する知識を考察するための研究領域の一つとして位置づけています。 - 犯罪心理学
犯罪行動、加害行動、被害が生じる状況などについて理解し、「危険が発生してからどう戦うか」だけでなく、「危険をどのように認識するか」という観点から護身を考えます。
パラベラムでは、これらの理論と身体技術を別々のものとは考えていません。
「何ができるか」という身体的な能力と、「いつ、何をするべきか」を考える知識の双方を持つことによって、護身における選択肢を増やすことを目指しています。
ファンクショナル詠春拳と女性護身術パラベラム
ファンクショナル詠春拳と女性護身術パラベラムは、同じものではありません。
ファンクショナル詠春拳は、身体技術を継続して学ぶための武術体系です。
一方、女性護身術パラベラムは、そのファンクショナル詠春拳を身体技術として採用し、さらに戦略研究、進化心理学、犯罪心理学などの知見を組み合わせて、女性の安全という観点から護身を考える体系です。
したがって、両者の関係は次のようになります。
身体技術を学ぶ ― ファンクショナル詠春拳
女性の安全と護身を総合的に考える ― 女性護身術パラベラム
そしてパラベラムという団体は、この二つの活動を担っています。
「戦うこと」よりも「備えること」
パラベラムという名称は、ラテン語の警句、
Si vis pacem, para bellum.
「汝、平和を欲さば、戦いに備えよ」
に由来します。
私たちがこの言葉から重視しているのは、「戦うこと」そのものではなく「備えること」です。
護身術を学ぶ目的は、常に誰かを警戒しながら生きることでも、あらゆる問題を力によって解決することでもありません。
必要な知識と技術を持つことによって、自分が選択できる範囲を広げる。
そして、できるだけ安心して日常生活を送る。
そのための「備え」をつくることが、パラベラムの考える護身術です。
私たちが目指すもの
パラベラムが目指しているのは、護身術を一部の武道経験者や身体能力の高い人だけのものにすることではありません。
護身について知り、考え、必要に応じて身体技術を学ぶ機会を、より多くの人が持てる環境をつくることを目指しています。
そのためにパラベラムでは、女性護身術の研究・教育、Functional Wing Chunの指導を行うとともに、子どもや地域を対象とした公益目的の活動にも取り組んでいます。
身体技術を学ぶこと。
危険について知ること。
自分自身の境界や選択について考えること。
そして、日常生活をより安心して送ること。
パラベラムは、こうした活動を通じて、人々の安全とQOLの向上に貢献することを目的としています。